佐賀大学医学部医学科 後期試験
試験の特色
佐賀大学医学部医学科後期試験を受験する生徒は、ほとんどが、前年度や前期試験で 九州大学医学部やその他の佐賀大学医学部より入試難易度の高い学校を志望していた学生です。また、定員も10名と非常に狭き門になっており、例年15倍から25倍程度の超高倍率になっています。
しかしながら、佐賀大の後期試験には学科試験がないこともあり、毎年センターの合格点はさほど変わりません。面接試験では大きな点差はつかないこともわかっており、センター試験では最低でも87%以上、できれば90%以上の得点率がないと、合格の可能性は非常に低くなります。毎年、足切りは72~75%くらいになりますが、正直、その得点率で受験しても合格率はほぼ0です。次年度のアピールのために受験する、等の理由がない限りは、センター試験の得点率が80%以下で出願するのは無謀です。ごく稀に、勉強以外の特色が非常に評価され入学する生徒もいますが、数年に1度の事なので、あまりお勧めできません。
①センター試験
センター試験は、先述の通り、やはり90%近い得点がないと合格が厳しいです。理系の学生にとって、85%からの得点率を伸ばすには、国語の得点率向上が最も重要です。国語の実力向上と、もちろん理系教科の実力安定を軸に学習することをお勧めします。この傾向は、恐らく共通テストになっても変わりません。
②二次試験
まずは、大学から発表されている文章を読みましょう。
・面接 2日間にわたり面接試験を実施します。第1日目は調査書等を基に,第2日目は自己推薦書を基に実施します。医学部志望の動機,学習意欲,積極性,生命や医療に対する倫理観,チーム医療の一員となる上で不可欠の協調性やコミュニケーション能力について対話・口述を通して評価し,将来優れた医師,看護職者になるために十分な適性を備えているかどうかを総合的に判断します。 なお,評価が低い場合は不合格とすることがあります。 ・調査書及び自己推薦書 単に学業成績優秀というのみでなく,規則的生活習慣を保ち,学習意欲,積極性や協調性に富んでいるかを高等学校3年間の行動記録である調査書及び自己推薦書によって評価します。 また,面接にあたっても参考にします。
と、あります。もちろん、医学部の面接において「倫理観はありません」と答える生徒はいないわけですから、それ以外の項目を読みましょう。
2日間にわたり面接試験を実施します。第1日目は調査書等を基に,第2日目は自己推薦書を基に実施します。
つまり、1日目は学校からもらった資料を基に、2日目は自分で書いた推薦書をもとに面接しますよ、ということです。面接の時間は、概ね5分程度です。我々は先輩方の話を含め十数年分の面接の様子を聞いていますが、経験上、それほど圧迫面接ではないようです。普通のことを、普通に聞かれます。しかも、そこに学校からの資料や推薦書があり、それを参考に質問すると大学は言っています。
なので、面接の質問としては、だいたい【①なぜ佐賀(もしくは佐賀大)志望ですか?】【②学校の資料or自己推薦書を読みながらそれについて質問】【③時間を埋めるための質問】この3つしかありません。①は、皆さんそれぞれ思いがあるでしょうから割愛します。②は、学校の資料や自己推薦書が元になる質問が来るので、要するに、質問の内容を誘導することができます。部活の事を書けば部活の話になるし、生徒会の話を書けば生徒会の話になるし、自分の得意な分野で話をすることができます。緊張する面接の場でこれは非常に大きいと思います。
ここまではいいんですよ。③が皆さんが気になるところだと思います。しかし、結論から言うと、そもそも準備する必要はありません。え?と思った方、この文章を是非最後までご一読ください。これまでの経験上、最近の医療ニュースについてガッシリ聞かれたり、ということはあまりありません。というのも、医学部の面接を担当するのは、殆どが医学部の教員の先生方です。要するに、面接官は皆医師免許を持っています。なので、高校生に医療の知識を本気で聞くことはありません。わからなくて当然、と思っていらっしゃいます。なので、逆に言うと、もし医療ニュースについて聞かれても、知識を答える必要はまったくありません。しっかりと、前を向いて笑顔で「わかりません!」と答えてもいいわけです。
ここで、大学の書いている文章に戻りましょう。
医学部志望の動機,学習意欲,積極性,生命や医療に対する倫理観,チーム医療の一員となる上で不可欠の協調性やコミュニケーション能力について対話・口述を通して評価し,将来優れた医師,看護職者になるために十分な適性を備えているかどうかを総合的に判断します。 ~中略~なお,評価が低い場合は不合格とすることがあります。 とあります。はい、では、ここで皆さんも鍛えた筆者が考えてることを読み取る力が大事になります。医学部の面接を担当しているのは、大学の先生方、言い換えると、佐賀大学医学部の職員になります。医学部の特質上、佐賀大医学部に入学する生徒は、かなり高い確率で、佐賀大学医学部卒業後に、佐賀大学医学部に就職します。具体的に言うと、20~25%くらいです。この前提をもって大学の文章を翻訳するとこうなります。うちに入学したいのはわかった。でも、勉強頑張ってもらわんと困るから、真面目な子がいいなぁ。変な問題を起こすような倫理観の無いやつは入学してもらったら嫌だな。まぁそれもやけど、コミュニケーションがちゃんととれる、将来同僚になっても困らない子が欲しいなぁ。だから、いくら入試の点数が高くても、ヤバい奴は落とす。
こうなります。ですので、もちろん知識があることに越したことはないですが、最近の医療ニュースについて、独自の鋭い医学的見解を持つ高校生って、むしろ不気味じゃないですか? もっと言うと、それを医者に自慢げに話すって勘違い野郎に見えませんか?ということを非常に注意する必要があります。内容はどうでもよくて、言い方のほうが非常に大事になります。なので、最善なのは、もし医療ニュースなど知識を問われても、その問題に対してしっかりとした意見が言えつつも、「自分はまだまだなんです」という態度でいる高校生、これが一番好印象です。実際に、センター試験の点数はすごく高いのに面接で印象が悪かったため不合格になった生徒がいます。(確定情報)といっても、そもそも難しい質問は来ません。特に後期試験は質問のバラエティが多い気がします。というのも、面接官の先生方は平日激務をこなされている方々ばかりです。その方々が、休みの日にわざわざ駆り出されていらっしゃるわけです。どういう気分かは、皆さん読解力で想像してみましょう。わざわざイジワルして、お互いに体力を使うようなことをするでしょうか?
これまでで質問された項目ですが、もちろん医療ニュースネタもあります。しかし、「好きな数式は何ですか?」「医学部を目指さなかったら何を目指していたと思いますか?」こういった質問もかなりあると聞きます。(この二つは実際あった質問)ですので、どんな質問が来るか予測することは不可能です。むしろ、質問が来そうな項目について準備して、さも原稿をよんでいるかのように、ロボットみたいに話す人、そんな人と同僚になりたいですか?多少の準備は必要だとは思いますが、準備しすぎるのもよくないです。
ですので、謙虚に、にこやかに、普通のことを普通に、できれば少しだけ知識を混ぜて、そのときはより謙虚に話すことができれば、絶対に大丈夫です。
ここまで話して申し訳ないのですが、それでも面接で大差がつくことはありません。あくまで、面接はヤバいやつを学校に入れないための保険であり、勝負所ではないです。気軽に自然体で受けることをお勧めしますし、そもそも、合格はほぼセンター試験(共通テスト)で決まるので、そちらの点数をより上げることができるように頑張りましょう。
点数配分
※2021年度入試
①センター試験+②二次試験の合計になります。二次試験に学科試験が無いのが特徴です。
①センター試験
5教科7科目(630点満点)
【国語】国語(140)
【数学】数IA必須,数IIB・簿記*・情報*から1,計2科目(140)
【理科】物・化(140)※基礎科目は不可
【外国語】英[リスニングを課す](140[28])
【社会】●選択→地歴・公民から1科目
《地歴》世B・日B・地理Bから選択(70)
《公民》現社・倫理・政経・「倫理・政経」から選択(70)
②二次試験
学科試験なし(280点満点)
【面接】(180)+調査書(100)出願時に自己推薦書提出